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【九州大学】物理学科AO選抜課題探求試験問題解答(平成31年度)



こちらは九州大学物理学科AO選抜課題探求試験(平成31年度)の解答例です。

問題1A

(1)難しく言えば二次元極座標系の運動方程式を円筒形の斜面上で立てれば良いが,高校物理の範囲としてはこれは,
\[ m \frac{v^{2}}{r} = N – mg \cos{\theta}\]
\[ \frac{1}{2} m v_{0}^{2} = \frac{1}{2} m v^{2} + mgr (1-\cos{\theta})\]
というように,向心方向の運動方程式とエネルギー保存則を連立することに相当する。ただし\(\theta\)は円筒形の斜面に入り始めたときを0とし,そこから斜面に登って行く方向を角度増加方向とする。また,\(N\)は垂直抗力であり,任意の\(\theta\)での速さを\(v\)としている。
上の二式を連立し,\(v\)を消去して垂直抗力\(N\)を計算すると,
\[N = \frac{mv_{0}^{2}}{r} – 2mg + 3mg\cos{\theta}\]
となる。離れないように物体が振る舞うための条件は垂直抗力\(N>0\)となることであるから,この不等式を\(v_{0}\)について整理すると,
\[v_{0}^{2} > (2-3\cos{\theta}) gr \]
しかしこの式において\(\cos{\theta}\)は任意の値をとるわけではなく,エネルギー保存則\(v=0\)としたときの値が最小の値(\(\cos{\theta}=1-\frac{v_{0}^{2}}{2gr}\))となり,最大は\(\theta=0\)のときである。もっとも厳しい\(v_{0}\)の条件を与えるのは\(\cos{\theta}\)がもっとも小さいときであるから,\(\cos{\theta}=1-\frac{v_{0}^{2}}{2gr}\)を代入して再び整理すると,
\[v_{0} < \sqrt{2gr}\]
を得る。
(2)

反発係数の定義を抑える。相対速度の絶対値の比と覚える方がミスが出ないと私は思う。

反発係数\(e\)の定義より,
\[e = \frac{衝突後の相対速度の絶対値}{衝突前の相対速度の絶対値} = \frac{\frac{v_{0}}{2}}{v_{0}} = \frac{1}{2}\]
(3)

完全非弾性衝突ではエネルギーは減少するが,運動量は作用反作用則から保存する。

運動量保存則より,
\[mv_{0} = (m+M)V\]
これを解いて, \(V = \frac{mv_{0}}{m+M}\)
を得る。ばねがもっとも短くなるときには,エネルギー保存則より,
\[\frac{1}{2}(m+M)V^{2} = \frac{1}{2}ka^{2}\]
という式が成り立つ。これを解いて,
\[a = \frac{mv_{0}}{\sqrt{k(m+M)}}\]
(4)衝突した地点を原点とし,左方向に\(x\)軸正方向をとると,運動方程式は,
\[(m+M) \ddot{x} = -kx\]
となる。したがって角振動数が\(\omega = \sqrt{\frac{k}{m+M}}\)の単振動となり,初期条件から,
\[x = -a \sin{\omega t}\]
と運動を決定できる。したがって受けている力の時間変動は,
\[F = -kx = -ka\sin{\omega t}\]
となる。単振動の周期を\(T= \frac{2\pi}{\omega}\)とすれば,\(\Delta t\)は\(\frac{1}{4}\)周期であるから,\(\Delta t = \frac{\pi}{2 \omega}\)となる。
よって力の時間平均値\(\overline{F}\)は,
\[\overline{F} = \frac{1}{\Delta t} \int_{0}^{\Delta t} (-ka \sin{\omega t }) dt = \frac{2}{\pi}\sqrt{\frac{k}{m+M}} mv_{0}\]

問題1B

斜方投射の応用問題だが典型的であり,なおかつ具体的に数値も与えられているため,一般化された問題よりは簡単と言える。

(1)水平右方向を\(X\)軸正方向,鉛直上方向を\(Y\)軸としよう。これは\(\phi=\theta-30^{\circ}\)の方向に斜方投射したことと同じである。運動方程式は,
\[m\ddot{X} = 0\]
\[m\ddot{Y} = -mg\]
である。興味があるのは\(Y\)軸方向の運動のみだからそちらを初期条件の元に解くと,
\[\dot{Y} = v_{0}\sin{\phi} – gt\]
\[Y = (v_{0}\sin{\phi})t – \frac{1}{2}g t^{2}\]
となる。最高点の時刻は\(\dot{Y}=0\)とおくことで\(t = \frac{v_{0}\sin{\phi}}{g}\)と求まり,これを\(Y\)の式に代入することで最高点の高さ\(h\)は,
\[h = \frac{v_{0} \sin^{2}{\phi}}{2g}\]
となる。\(\phi = \theta – 30^{\circ}\)と置き直して加法定理で展開すれば,
\[h = \frac{v_{0}}{2g}(\frac{\sqrt{3}\sin{\theta}}{2} – \frac{\cos{\theta}}{2})^{2}\]
となる。
(2)運動方程式は,重力を\(x,y\)軸方向に分解して考えれば,
\[m\ddot{x} = mg\sin{30^{\circ}}\]
\[m\ddot{y} = -mg\cos{30^{\circ}}\]
となる。これを初期条件\(\dot{x}(0) = v_{0}\cos{\theta}, \dot{y}(0) = v_{0} \sin{\theta}\)のもとで解くと,
\[\dot{x} = v_{0}\cos{\theta} + \frac{1}{2}gt\]
\[\dot{y} = v_{0}\sin{\theta} – \frac{\sqrt{3}}{2}gt\]
となる。さらに積分して,
\[x = (v_{0}\cos{\theta})t + \frac{1}{4}gt^{2}\]
\[y = (v_{0}\sin{\theta})t – \frac{\sqrt{3}}{4}gt^{2}\]
となる。
最高点の時刻は\(\dot{y}=0\)とおくことで,
\[T = \frac{4v_{0}\sin{\theta}}{\sqrt{3}g}\]
と求まり,これを\(x\)の式に代入することで到達距離\(l\)は,
\begin{align*}
l &= \frac{4v_{0}^{2}\sin{\theta}}{\sqrt{3}g}(\cos{\theta} + \frac{1}{\sqrt{3}} \sin{\theta})\\
&= \frac{4v_{0}^{2}}{3g}(\sqrt{3}\sin{\theta}\cos{\theta} + \sin^{2}{\theta})\\
&= \frac{4v_{0}^{2}}{3g}(\frac{\sqrt{3}}{2}\sin{2\theta} + \frac{1}{2}(1- \cos{2\theta}))\\
&= \frac{4v_{0}^{2}}{3g}(\sin{(2\theta – 30^{\circ})} + \frac{1}{2})
\end{align*}
実際は上ほどまでには計算せず,最初の行で打ち止めにしても良い。
(3) (2)の答えに\(\theta = 60^{\circ}\)を代入すれば,
\[d = \frac{2v_{0}^{2}}{g}\]
となる。
(4) (2)で求めた\(T\)を\(\dot{x}, \dot{y}\)の式に代入し,\(\theta = 60^{\circ}\)とすれば,\(\dot{x}(T)=\frac{3}{2} v_{0}, \dot{y}(T)= -(1-\frac{\sqrt{3}}{2})v_{0}\)となる。反発係数の定義から,
\[0.5 = \frac{衝突後の相対速度の絶対値}{衝突前の相対速度の絶対値} = \frac{v}{|\dot{y}(T)|}\]
となる。ただし\(v\)とは,跳ね返った直後の\(y\)軸方向の速度である。これを計算して,
\[ v = \frac{1}{2}(1-\frac{\sqrt{3}}{2})v_{0}\]
となる。また,\(x\)軸方向の速度は跳ね返った後も変わらないから,\(\dot{x}(T)\)である。

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