身の回りのこと」カテゴリーアーカイブ

どうして人工衛星は回っていられるのか


人工衛星。私たちの生活の上で欠かせないものです。とはいっても、具体的にどのような役割をしているかご存知でしょうか。以下まず役割を解説してみましょう。

人工衛星の役割とは?

JAXA(http://www.jaxa.jp/projects/sat/)のページをみると、さまざまな人工衛星が活動中・開発中であることが見て取れると思います。

①天体を観測するため

地球以外の天体、たとえば太陽などを観測するためです。このような人工衛星を「天文観測衛星」と呼びます。天文観測衛星は宇宙空間に配置し、大気圏を避けています。なぜなら、太陽などからやってくる光(赤外線・紫外線・可視光線)は大気圏に存在する粒子に衝突することで吸収されてしまったり、散乱されること(弾かれるということ)で本来の情報を失ってしまうからです。太陽からの光をダイレクトにありのままに受け止めたいのであれば、宇宙空間に置く方が正確な測定ができるわけです。

【どうして大気圏外に置くべきか】

 

2018年7月9日現在上記JAXAのページによれば、太陽を観測する「ひので」、惑星を観測する「ひさき」、宇宙嵐とそれにより生成消滅を繰り返している高エネルギー電子の解明を試みる「あらせ」、地球の磁気圏を測定し太陽からのエネルギーの流れを読むための「GEOTAIL」などがあります。

 

②地球を観測するため

これがもっとも私たちに馴染みのある人工衛星でしょう。なぜなら、毎日ニュース番組などでみる天気予報における情報のもとは、「地球観測衛星」と呼ばれる人工衛星によるものだからです。地球観測衛星は主に二つの用途があり、一つはある地点の上空で動かないように配置することで気象情報などを得ようとする用途です。日本の上空には「ひまわり8号」が存在し、私たちに雲のうごきなどを伝えてくれています。もう一つは、より地球に近づいたような位置にすることで、地球の広域の詳細情報を掴もうとする用途です。

 

③通信・放送のため

スカパーJSAT(https://www.jsat.net/jp/satelliteCommunications.html)などの通信・放送サービスを行う民間企業が主に利用しています。放送データなどを、放送局から家庭毎に通信して渡して行くのはあまりに非効率です。スカパーはCMなどでもご存知の方が多いかと思いますが、放送番組です。放送局は放送データを一挙に保有している衛星にアップロードします。そして、そのデータをスカパーをご覧になるお客様方へ向けて、上空から一気に送信するのです。非常に効率的になります。

 

④測位のため

これも私たちが大変お世話になっている機能で、「測位衛星」と呼ばれます。いわゆるGPS (Global Positioning System)であり、Google Mapsで目的地を探すときや、カーナビで役に立っています
GPSとはそもそもアメリカが保有する衛星のことであり、携帯電話やカーナビにはGPSからの電波を受信できるようににするための「受信機」が搭載されています。だから、Google Mapsなどで私たちの位置を特定することができるのです。とても便利なGPSですが、先にも述べたようにアメリカが保有するもので、実は軍事目的のために作られたものです。したがって、何か世界的によくないことが起こったりした時は、アメリカは自分の衛星なのですから、自分たちの思うような使い方に絞り私たちが普段使うようなことに使えなくなる可能性があります。では日本も測位衛星を打ち上げればいいではないかと思うかもしれませんが、コストなどを考慮すると非常に維持するのに大変な代物で、なかなか手が出ないのです。なので、日本は基本的には外国の測位衛星に頼っています。アメリカの「GPS」以外では、ヨーロッパ諸国による「ガリレオ」、中国の「北斗」、ロシア連邦の「GLONASS」などがあります。

他にもいくつかの用途はありますが、主だって私たちの生活に影響するものは以上になります。

人工衛星はなぜ回っていられるのか

直感的な答えを述べましょう。私たちがキャッチボールをするとき、投げたボールは山なりを描いて落ちていきます。しかし、肩が良い人は真っ直ぐ、力強く投げることができるでしょう。とはいっても、野球選手ほどの肩でもボールはしっかり落ちていきます。では、それが人間にはできないほどの速さで投げれたとしたら、どうなるでしょうか。やはりどんなに速くても地球からの重力がありますから、ボールは落ちます。しかし、あまりにも速すぎて落ちるに落ちれない、そんな状況が生まれる気がしませんか?そして投げたボールは地球をぐるっと一周し、自分の頭の後ろにやってくる。一人キャッチボールができてしまうわけですね(笑)ちなみに、この速すぎる「速さ」のことを「第一宇宙速度」といいます。

【人工衛星が回る原理】

空気抵抗などを無視した簡単な計算によれば、第一宇宙速度はおよそ7.9[km/s]です。1秒に7.9km進むという速さです。42.195kmのフルマラソンをわずか6秒程度で終わらせてしまうほどの速さです。ありえません。ありえない速さです。よって、一人キャッチボールは無理です(笑)

冗談はさておき、直感的には人工衛星はこのような原理で地球の上空を回り続けています。落ち続けているのです。速すぎて落ちてこないだけなのです。

 

地球周回軌道について

人工衛星の役割によって分類するのはすでに書いた通りです。一方、別の捉え方で人工衛星を分類することもあります。それが、「地球をどのように回っているか」=「地球周回軌道」です。

①高いか低いか

とても分かりやすい分類です。地上からどれほどの高さにいるかということで分類をします。
低軌道は1000km以下、それ以上を中軌道、さらに36,000km以上を高軌道と呼びます。

 

②赤道面から軌道がどれだけ傾いているか

これを「軌道傾斜角」と呼びます。この定義から、0度以上90度以下の値で指定されることがわかるでしょう。

 

③地球にもっとも近づいた時の距離・遠ざかった時の距離

一般に二つの物体の間に及ぼしあう重力によって描かれる軌道は楕円軌道であり、円軌道とは限りません。楕円軌道のとき、必ず地球にもっとも近づいた瞬間と、遠ざかった瞬間が存在します。それぞれ、「近地点高度」、「遠地点高度」と呼びます。仮にも近地点高度=遠地点高度だった場合、それは楕円軌道の中でも特殊な円軌道というものになるわけです。たとえばハンマー投げをする選手がハンマーをもってぐるぐると回しているとき、そのハンマーの先端の球の軌道は、楕円でしょうか、もっといえば円でしょうか?

 

④どれくらいの時間をかけて地球を一周しているか

これを周期と呼びます。分かりやすい分け方ですね。

さて実際にJAXAのページ(http://www.jaxa.jp/projects/sat/slats/index_j.html)から地球観測衛星「つばめ」の情報を見てみましょう!

今回は軌道の高さで分類していますね。1,000km以下なので、これはいわゆる「低軌道」ということになるわけですね。

 
参考文献:谷口義明 (2013)『新天文学事典』講談社