2019年5月27日 三角形の成立条件

こんにちは。今回は生徒の定期考査対策で、三角形の成立条件に関して深く学習していきました。

△ABCに対して、三角形の成立条件とは、

$$|b-c| < a < |b+c|$$

が成り立つことです。今回の問題は、

$$x>1と仮定する。\\x^{2}-1, x^{2}+x+1, 2x+1を辺とする三角形を作るとき、\\最大角を求めよ。$$

です。解いてみたい人はこの先が解説になっているので読む前に解いてみましょう。

そもそも三角形が成立するか

これは上に書いた成立条件の式を使います。辺の長さとしてa, b, cは自由にとってよいので、たとえば、

$$|(x^{2}+x+1)-(2x+1)| < x^{2}-1 < (x^{2}+x+1)+(2x+1)$$
$$|x^{2}-x| < x^{2}-1 < x^{2}+3x+1$$

ここで不等号が二連続でつながっているものは「かつ」で結んだ条件と同値なので
$$|x^{2}-x| < x^{2}-1 かつx^{2}-1 < x^{2}+3x+1$$

と変形することができます。

$$-(x^{2}-1) < x^{2}-x < x^{2}-1 かつ x^{2}-1 < x^{2}+3x+1$$

$$-(x^{2}-1) < x^{2}-xかつx^{2}-x < x^{2}-1 かつ x^{2}-1 < x^{2}+3x+1$$

この不等式を「かつ」で結んだものを解いてあげると、

$$x>1$$

を得る。いま、x>1は前提条件であったから、すでに三角形が成立する条件は満たされていることになる。

最大角はどこか?

ここでは、「最大辺に対応する対角が最大角となる」ことを利用します。

ここでどの辺が最大になるかは全くわかりません。もしかしたらxの値により最大辺が変わるかもしれませんし、どんなxの値でも何かが最大辺となるかもしれません。

ひとつ目安として、

$$x^{2}のほうがxよりも大きくなっていきやすい$$

という点に着目すると、

$$x^{2}+x+1とx^{2}-1は、2x+1に比べて大きそう$$

という予想を立てるのは良いことだと思います。では二乗同士の優劣ですが、差をとってみると、

$$(x^{2}+x+1) – (x^{2}-1) = x+2>0 (x>1のため)$$

となります。さらに、

$$
\begin{align*}
(x^{2}+x+1) – (2x+1) &= x^{2}-x\\
&= x(x-1)>0(x>1のため)
\end{align*}
$$
となるので、最大辺は、

$$x^{2}+x+1$$

であることがわかりました。こうして、最大角はこの辺の対角となります。

最大角を求める

上で求めた最大角について余弦定理を適用します。下の図のようにして△ABCを設定してあげます。

△ABCの設定

ここに余弦定理を適用すると、

$$
\begin{align*}
\cos{C} &= \frac{a^{2} + b^{2} – c^{2}}{2ab}\\
&= \frac{(2x+1)^{2} + (x^{2}-1)^{2} – (x^{2}+x+1)^{2}}{2(x^{2}-1)(2x+1)}\\
&= \frac{-2x^{3}-x^{2}+2x+1}{2(x^{2}-1)(2x+1)}\\
&= \frac{-(x+1)(x-1)(2x+1)}{2(x^{2}-1)(2x+1)}\\
&= -\frac{1}{2}
\end{align*}
$$
となります。よって、求める最大角は120度となるわけです。

2019年5月24日 特殊相対性理論を取り入れた力学の再構築

さて、今日は高校一年生に向けて(中3の頃から)やってきた特殊相対性理論の講義が一通り終わりました。その最終講義の一部を紹介いたします。

黒板その1

特殊相対性理論を取り入れると、通常の力学では重要な法則となっていた「運動量保存則」が一見成立していないように見えます。これは直感的には微妙な状況です。それを打破するために考えられたのが、「同じ質量と考えていたものは、自分から見たときの速さによって質量が異なるのでは?」という大胆な仮定です。

黒板その2

この仮定のもと、運動量保存則が成立するように速度vのときの質量m(v)を求めると、

$$m(v) = \gamma m(0)$$

と表現できます。ここで$$\gamma = \frac{1}{\sqrt{1-(\frac{v}{c})^{2}}}$$です。γはどんなvの値でも1より大きい値ですので、自分から見て何らかの速度vを持つ物体は、静止しているときの速度に比べて大きな質量になってしまう、ということがわかります。つまり、「動いている物体は太ってみえる」ということになるわけです。面白いですね。このm(o)のことを静止質量と呼びます。

ここまでの議論はあくまで妄想に過ぎません。なぜなら、「運動量保存則が成立するためには、質量m(v)がこのように表現されるべきである」ということを計算して見たに過ぎないからです。これの正しさを確認するのが実験です。物理学は最後に実験に頼らなければなりません。実際にこの正しさを証明した実験がコンプトン散乱です。

この実験では電子に対してX線(光子)を照射したのですが、この2粒子の衝突のエネルギー保存則や運動量保存則を議論するのに特殊相対性理論が必要になってしまいます。そして実際に特殊相対性理論を用いて議論した結果得られる理論値が、コンプトン散乱における実験結果を非常によく説明しました。これが特殊相対性理論の正しさを裏付けることになりました。

さて長々と書きましたが、これに核エネルギーの話を少々して今回の相対性理論の講義を終えました。本来電磁気学と絡めた話もすると面白いですが、いまだ電磁気学を学んだことのない高校一年生に対して特殊相対性理論の面白さを語るにはとりあえずここまでがキリが良いと考え、ここで一旦打ち切りました。今後は高校物理の講義を高いレベルから行っていく予定です。

 

2019年5月20日 内心と外心が一致する三角形は?

今回は高校一年生に対する数学(三角形の五心)が試験範囲なので授業をいたしました。

 

一問だけ扱った問題を取り上げましょう。

問題:三角形の内心と外心が一致するなら正三角形であることを示せ。

とのことです。生徒さんはこのような図形の証明問題が苦手そうでした。まず、とりあえず適当に作図しましょう(図中1)。内心とは何か、重要なのは頂角の二等分線の交点が内心であるということですから、図中2のようにして描いておきます。そして図中3のようにして外心の特徴である、中心から頂角までの距離が半径で一定であるということを描き込んでおきます。

ここで、図中4にあるように、内心と外心が一致するイメージを作ります。なぜなら、今回の問題設定は内心と外心が一致することを仮定しているからです。すると赤色で作られた三角形と青色で作られた三角形が完全に一致することになるため、図中5にあるように○=×であることがイメージできると思います。

さて、次に図中6のようにして緑色の補助線を引っ張り、別の角度の部分についても考察してみます。すると△と書いたところと◯のペアについても全く同じ議論ができますから、結局◯=×=△が成立します。

ここまでわかったことをすべて図中7のようにして整理してみると△ABCというのはどうやらかなり特殊な三角形であることがわかります。ここからは生徒が独自で考えた方法1と、私がその場で提供した方法2との解法を示しております。私の講義の場合、絶対に生徒の考えを真っ向から否定はしません必ず生徒の考えを受け付け、いろいろな考え方を共有します。今回生徒から出たのは「円周角の定理の逆」を用いた証明です。今は正三角形であることを示したいので、絶対にそのことに触れてはなりませんが、図中7の×二つ分ずつでとりあえず△ABCの内角がすべて等しいことがわかります。(この時点で人によっては△ABCが正三角形であることは自明ではありますが、絶対に私はこの時点で否定したり止めたりしません)そこで生徒が考えたのは、

  1. 角A,B,Cがすべて等しいということは、孤AB,BC,CAに対する円周角が等しいとも捉えられる
  2. つまり円周角の定理の逆より、孤AB,BC,CAの長さは等しい
  3. つまり辺AB,BC,CAの長さも等しい
  4. このような△ABCは正三角形である

という議論。間違っていません。これをいきなり2の段階で、「いやいや、角度等しいんだから正三角形でしょう」というのは無粋と考えています。実際答えにたどり着けましたから、それで良いのです。


さて今日は数学の講義でした。また次回の講義で更新することにいたしましょう。

2019年5月17日 高1 相対論的力学の構築

お久しぶりでございます。講義をしているのならしっかりと更新しないとですね(^^;)

中3の頃から授業をさせていただいておりました生徒様が高1にあがり、受験を気にせずゆったりと自分の学びを深めております。この日はその彼の講義で「特殊相対性理論」を仮定した場合にどのようにして力学を書き換えるかという問題です。いわゆる相対論的力学という話。

慣性系と慣性系の間の関係性はガリレイ変換で結ばれるというのが一般的な力学の立場ですが、特殊相対性理論のもとではローレンツ変換で結ばれることになります。しかしそのもとでは力学における重要法則であった「運動量保存則」が慣性系がうつりかわることによって乱れます。これではいけないであろうと、「運動量保存則」を成立させるにはどのような仮定を組み込むべきかと策を練ることになります。このために導入されるのが「質量は実は慣性系によって値が異なるのでは?」という大胆な仮定。これによって実は運動量保存則の問題は解決されていきます。

さらに進み、相対論的力学における「力」「エネルギー」はどのように定義すればよいかという問題が起こります。そこで力は運動量を時間微分したもの:

$$ F = \frac{d}{dt} (mv)$$

と定義し、エネルギーは仕事率とエネルギーの時間変化の関係:

$$\frac{dE}{dt} = Fv$$

によって定義することにしたのです。こうして特殊相対論を考慮した力学が構築されました。今回の講義ではここまで。詳細な計算は実は端折っていて、次回の講義にそれを全て示す予定です。今回は主な流れを説明したということになります。


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【大学受験:熱力学】1.内部エネルギー変化はどうしてnCvΔTとかける?

熱力学ワンポイントクイズ!その1です。みなさん、あまりに自然に、

$$ \Delta U = n C_{V} \Delta T $$

を使っていませんか?しかしこれは常に成り立つ式ではございません。理想気体であるときには成り立つ関係式です。

では、どうして理想気体であればこの関係式が成り立つのでしょうか?問題を解くだけでは実用上これさえ押さえておけば何とかなることも多いですが、時には振り返ってみましょう。

解説図1

上図のようにして、P-V図上で始めの状態\(S_{0}\)を定め、そこでの温度を\(T_{0}\)とします。そして、その温度よりも少し高温の\(T_{0} + \Delta T\)の等温線を引き、そこでの異なる三状態を\(S_{1}, S_{2}, S_{3}\)とします。

ここで熱力学の法則の中で非常に重要なものがあります。それは、「理想気体の内部エネルギー\( U\)は温度のみの関数であり、\( U=U(T)\)と書くことができる。」ということです。これが今回の核になっています。

これはすなわち、温度さえ保てば、他のどんな物理量を変化させても内部エネルギーは一定ということです。非常に強力です。このことから、

解説図2

上図のようにして内部エネルギー変化を\( \Delta U_{01}, \Delta U_{02}, \Delta U_{03} \)とおくと、

$$
\begin{align}
\Delta U_{01} &= \Delta U({T_{0} +\Delta T}) – \Delta U(T_{0}) \\
\Delta U_{02} &= \Delta U({T_{0} +\Delta T}) – \Delta U(T_{0}) \\
\Delta U_{03} &= \Delta U({T_{0} +\Delta T}) – \Delta U(T_{0})
\end{align}
$$

となる。したがって、

$$
\Delta U_{01} = \Delta U_{02} = \Delta U_{03} \tag{1}
$$
とかけることになる。

さて、初めには言及していませんでしたが、\(S_{0}\)から\(S_{1}\)への状態変化を「定積変化」としましょう。定積変化においての熱力学第一法則は、

$$
\Delta U_{01} = Q – W
$$
において、\(W=0\)であり、定積モル比熱\(C_{V}\)を使えば\(Q = n C_{V} \Delta T\)と書くことができますから、

$$
\Delta U_{01} = n C_{V} \Delta T \tag{2}
$$
となる。ここで、式(1), (2)から、

$$
\Delta U_{01} = \Delta U_{02} = \Delta U_{03} = n C_{V} \Delta T
$$
とかけたことになる。したがって、\(\Delta T\)だけ上がるどのような状態変化に対しても、内部エネルギーの変化は、

$$
\Delta U = n C_{v} \Delta T
$$
とかけたことになる。証明終了です。

まとめると、

全体の流れ

このようになっています。いかがでしたか?

皆さんの理解の一助となれば幸いです。

2018年11月28日 模試の解説

某K塾さんの物理解説をメインにしました。計算量が多いところもありましたので、計算やまとまって考える力がないと厳しかったかもしれませんね。

 

画像は電磁誘導の問題でした。さて、明日もまた頑張っていきましょう!

2018年11月26日 光学の授業

本日は浪人している方に向けて光学の授業でした。

光学の授業中

光学も力学的波動も、数学的表現が本来必要になりますから、両者の整合性を理解してもらいながら進めるのはなかなか難しいです。

直感ももちろん、その上で数学的にどうなっているのか理解する。それでこそ面白さがあります。

今日はhalf mirrorの実験に関する問題でしたね。とてもいい演習になったと思っています。

2018年11月24日 摩擦による圧力損失〜流体力学〜

円管内の層流

 

本日は高専生に流体力学をティーチング。円管内に蒼龍があった場合の、摩擦による圧力損失を考える問題。流体力学は専門ではありませんが、学んでみると奥が深いし面白いものがたくさんありますね。こういう実験がいつかできたらいいなぁ。はやくPeXをちゃんと建てたいところだ!

2018年11月20日 慣性モーメントの計算

慣性モーメントの計算

慣性モーメントの計算を高専生に向けて行いました。運動方程式の扱いに慣れてきても、なかなか最初は回転の運動方程式の概念に慣れ親しむのが難しいですね。回転のしにくさという感覚を身につけましょう、と伝えました。

高専生はたくさん物理を勉強しないといけないから、大変ですね…。